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2015年4月30日 (木)

2015年5月 Monthly Setter Interview

201551日(金)より、ライノ&バードのMonthly課題が新しくなります。今回のセッターはMAXこと柴田晃一(しばたこういち)さんです。今回も6級から二段まで計20課題作っていただきました。柴田さんらしい岩場っぽい(本人曰く気持ち悪い)課題が多いので、今までのライノとは一味違ったテイストで楽しめるのではないでしょうか。

今月も「Monthly Setter Interview」をさせていただきました。柴田さんの独特のクライミングスタイルの原点などにもせまりましたのでお楽しみください!

 


Monthly Setter Interview

 

Interviewee:柴田晃一

1987年生まれ27歳。神奈川県出身。通称MAX。父親の影響でクライミングを初め、若くしてコンペや外岩で成果を挙げる。ジュニアオリンピック優勝、アジアユース優勝、ワールドユース10位等。岩場の開拓にも力を入れていて湯河原の「Zion Gate」(四段)等を初登。またスラックラインの分野でも日本で初めてハイラインを試みるなど先鋭的に活動。その独特なキャラクターで皆に愛されている

 

Interviewer:植田幹也

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-まず初めに、クライミングを始めたきっかけなどを教えていただけますか

 

クライミングを始めたきっかけは父親(柴田晃さん)の影響ですね。父親は岩場の開拓を元々趣味でしていたんですが、どうせならクライミングジムを自分でやろうということで「MAX」というジム(現Nose相模原店)を始めました。そこから僕もジムで登ったり、父親に岩場に連れて行かれたりとクライミングをやるようになりました。10歳の頃に始めたのでクライミング歴でいうと17年くらいですかね。

 

-ユース時代から相当な実績を残されていますが、これまでのコンペと外岩の主な成果を教えていただけますか

 

ユース時代の主な実績はジュニアオリンピックで何度か優勝、アジアユースで優勝、ワールドユースで最高10位などですかね。最近だとボルダリングジャパンカップ東京大会で準決勝に進出しました。

岩場では以前父が開拓していた湯河原幕岩で「Zion Gate 四段を初登したのが近年の主な成果ですかね。

ユース時代はコンペに数多く出ていましたがその後スケボーやスラックラインなどのクライミング以外の世界に出会い、それらの影響を取り入れて自分のクライミングスタイルを確立できたらなと思い始めましたね。

 

-そのあたりの話を詳しく伺いたいですね

柴田さんの尊敬している、またはクライミングスタイルに影響を与えたクライマーはどなたでしょうか

 

尊敬しているクライマーはディーン・ポッターですね。単にクライミングとスラックラインが上手いというだけでなく、マインドコントロールのやり方が優れているところなどをリスペクトしています。例えばディーン・ポッターは「ロストアロー・スパイヤー」という世界で一番有名なヨセミテのハイラインのスポットでノーリーシュという命綱をつけずに渡るということを著名なクライマーで初めて成功させています。

日本人で僕が影響を受けたのは三由野(みよしなお)さんですね。PUMP2で開かれていたプラナカップでランジコンテストというものがあったのですが、そこでピョンピョン跳んでいた中学生の僕を三由さんが気に入ってくれたのが出会いです。そこから岩場連れて行ってもらったり、メーカーを紹介してもらったりなど色々と良くしてもらいました。

 

-やはり三由さんなんですね。

個人的には三由さんは御岳のロッキーボルダーの三課題や塩原の「千」など本当に素晴らしい課題を初登している方というイメージです

 

そうなんですよ。岩場でもジムでもラインを見出す力は結局のところその人に秘めているセンス次第だと思うのですが、三由さんはそのセンスが本当に良い人だと思います。そこに惹かれて一緒にクライミングをしていたと言ってもよいかもしれません。『in Tokyo!』(三由さんらの御岳等でのボルダリングを収めた映像作品)は擦り切れるほど観ました。

また、三由さん経由で大島次郎さんなどのB3(千葉県流山市にかつて存在した伝説的なジム)の人たちとも知り合うようになりました。コンペに執着しなくなったのもB3の人たちと出会った15歳くらいからですかね。クライミングはスタイルが大事で、色んなクライミングをすることが自分の意思表示になるということを教わりました。それがきっかけで外岩により注力するようになりましたし、スラックラインも始めました。B3の人たちはエクストリームともちょっと違うのですが、色んなムーブメントを取り入れ、遊びに対して真剣というイメージですかね。ここでは言えないくらいのすごいことをたくさんやっていたと思います(笑)

あとはライノスタッフのノブとは長い付き合いですね。彼とは中学3年生の時に知り合ったからもう12年くらいの付き合いかな。僕の母が沖縄出身なことがきっかけで出会い、同い年ということもあり仲良くなりましたね。二人で一緒に岩場に行ったりすると面白いことに得意不得意が真っ二つにわかれます。僕が得意なものはノブが全くできないし、ノブが得意なものは僕が全くできない。スタイルが全然違うからずっと仲良くやれているんじゃないでしょかね。

 

-ありがとうございます。柴田さんのクライミングスタイルのバックグラウンドがよくわかりました。

では、外岩に関して開拓も含めてその魅力等を教えていただけますか

 

まず僕は岩場で育ってきたので、基本的には岩場で活動していきたいという気持ちが強いです。ジムでのクライミングは結局はホールドが限定されたものでしかないですが、岩場はライン上のホールド全てを使って良いというある意味最も自由なスタイルでクライミングができるんですよね。そういった中で、一手先が良いホールドなのか悪いホールドなのかわからないまま高度を高めていく、ムーブを詰めていくというのが魅力的ですね。

開拓に関しては、危険性などから賛否両論あるかもしれませんが、僕の開拓スタイルは基本的には上の掃除をせず下からグランドアップで探り探り高度を高めながら登るというものです。大きな石が欠けることもあるかもしれませんし本当に危険なことですが、そういったスリルも踏まえてルートのストーリーを作っていきたいといった気持ちが強いです。「Zion Gate」も、ノブが初登した「ファンタジスタ」もホールドを壊さず下から突っ込んでもぎ取った課題です。

これにこだわると草野さん(草野俊達さん)が今やっている、コケも落とさずチョークもつけない通称「コケダリング」という究極の美しいスタイルに行きつくのかもしれませんね。

 

-柴田さんの岩場でのクライミングスタイルが良くわかりますね。

現在開拓も含めて外岩で注力しているエリアや課題はありますか

 

今は開拓は一段落ついたので既存の課題を登りたいなと思っています。具体的に狙っているのは「Rampage」や「冬の日」などですね。課題の背景やストーリーが良いほど魅力を感じて取りつきたくなるんですよね。

 

-ストーリーの良さで課題に魅力を感じるという点、とても共感できます。

では少し話がそれますが、クライミング以外に精力的に活動しているスラックラインに関してお話を伺ってもよいでしょうか

 

今はクライミングをメインに活動しているんですけど、今後はスラックラインのハイラインも国内でやっていこうかなと思っています。スラックラインは一般的な高さのトリックラインと、高さ5mくらいまでのミドルラインと、高さ20m以上のハイラインとに分かれます。ハイラインは岩頭と岩頭をそれぞれ登るなどしてラインを張るのが一般出来です。国内で初めてハイラインをやったのは僕なんですが、できれば小川山や瑞牆などのクライミングのメッカでハイラインをやれるような環境を作っていきたいですね。

最近では国内で高さ100m長さ35mなどのハイラインをやりました。ノーリーシュでは高さ10m長さ15mくらいのものもやったことがありますね。

 

-ノーリーシュで高さ10m!?それは想像しただけで怖いですね。

ハイラインやノーリーシュの魅力はどんなところなのでしょうか

 

タンクレードというフランス人の師匠の影響が大きいですね。彼はパラシュートを背負ってハイラインを渡ってその後ベースジャンプをするような人なのですが、ハイラインは精神的なスポーツなのでハーネスをつけてやるだけじゃないということを教わりました。ハーネスをつけて余裕で渡れるようになったらまずは足首にリーシュをつけて渡る。それでも渡れたらノーリーシュで渡ることを目指せと言われました。ノーリーシュの場合、踏み外したらラインをキャッチして身体を確保するしかないですね。

ノーリーシュをやる理由としては、ハイラインは一度ラインを張るとすぐに移動できないということも大きいですね。もしラインを張って簡単に渡れてしまった場合、ノーリーシュにして難易度を上げるわけです。

 

-ちなみにスラックラインの難しさはどういったもので決まるのでしょうか

 

個人的な意見ですが難しさは、風、光、視界などで決まりますね。例えば林の中などの閉ざされている空間は渡りやすく、逆にまっすぐ見ても何もないような開けているところは距離感が掴めず難しいです。

それとハイラインの場合はラインを張る強さなどにも気を付ける必要がありますね。トリックラインみたいにがっつり張ってしまうとボルトが抜ける可能性があり、そうなった場合はハーネスの有無も関係ないですからね(笑)。そのあたりはカンと経験でしょうか。

ハイラインはクライミングのハイボルダーに非常に通じるものがあります。自分の気持ちとの駆け引きがとても似ていると感じますね。

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-ありがとうございます。スラックラインの話は知らないことばかりで面白いですね。

では本題に入らせていただいて今回のマンスリー課題のことを伺います。

マンスリー課題はどのようなことを意識して作成しましたか

 

まず僕の課題の特徴はノブ曰く気持ち悪いらしいです。今回のマンスリー課題はその特徴を出して、ダイナミックな動きだけではなくて重心の動かし方とかホールドの利かせ方などを意識して作りました。そういったものは岩場のクライミングにかなり通じるものがあると思います。ジムで教わる動きだけじゃなくて、不自然な動きもとりいれつつ、かつダイナミックではない課題になっていると思います。

 

-特にオススメの課題はありますか

 

簡単な課題では5番の4級の課題がオススメです。ホールドの距離感はさほど遠くないんですが、その代わりホールドの向きが悪いので利かせないと登れないようになっています。足自由課題なので自分のサイズにあったスタンスを見つけて登ってもらえれば新しい動きも出てくるのではないでしょうか。

中級者向けの課題では10番の3級の課題が面白いと思います。これは今回作成した課題のなかではダイナミックな方の課題ではありますが、振られすぎると落ちてしまうようにしました。身体の芯は保ちつつ、足の向きも悪いのでそれも考慮して身体を開きしっかり固めて登ってもらいたいです。

上級者向けのオススメ課題は緩傾斜にある14番の1級なのですが、これこそMax課題です!非常に気持ち悪い(笑)!スタートから気持ち悪いですが、下と上で全然バランスが違うのでスタートができても上で落ちるかもしれないです。もうこればかりは味わってもらうしかないです!とにかく気持ち悪い課題です

<5番 4級>

<10番 3級>
<14番 1級>

 

-テーマは気持ち悪いですね(笑)。楽しみです。

では最後に今後の活動などを聞かせてもらえますか

 

基本的には岩場を登りながら、ルートセットもしつつ、開拓もその内また再開したいですね。岩場のエッセンスを取り入れつつ色んなジムのルートセットを精力的にやっていければなと思っています。古くさーい課題を各ジムに提供していくのでお楽しみに。それとまだ漠然としていますが、新しい試みも探りつつ色んなクライマーの意見を聞いてイベントとかもできたら楽しいかなとはちょっと思っています。

とにかく楽しいのが一番!ゆるく楽しく!!

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